2014年11月28日(金)、兵庫県神戸市「神戸クリスタルタワー クリスタルホール」において、「第12回青少年のインターネット利用環境づくり フォーラムin兵庫」が開催され、約200名の方に参加いただきました。フォーラムでは、午前中に企業講演、午後は有識者による基調講演と関係者によるパ ネルディスカッションを行いました。

第12回 青少年のインターネット利用環境づくりフォーラムin兵庫

講演1

教育のICT化による子供の育成環境の最新動向
~ 2020 年に向けて地域、家庭、関係者に求められる対応とは~

講師:佐藤 喜信氏(株式会社内田洋行 教育総合研究所)

 2020年に向けた教育現場でのICT活用の動向について、東京都荒川区や佐賀県の事例紹介、実際の授業風景の動画なども交え、お話しいただきました。効果的にICTを活用してく為には、子供たちの情報活用能力を育てる必要があると同時に、その土台となる正しい情報モラル教育が必要であるとのご説明をいただきました。

写真:内田洋行 佐藤氏登壇の様子

講演2

安心・安全なネット社会の実現に向けて~トラブル事例とDeNAの取り組み~

講師:西 雅彦氏(株式会社ディー・エヌ・エー Japanリージョンゲーム事業本部 カスタマーサービス部 部長)

 子供たちが普段利用しているサービスについてご紹介いただいた後、参加者2人に対し1台のスマートフォン端末をお配りし、実際のメッセージアプリでチャットの体験を実施しました。「出会い」や「個人情報の特定」などトラブルに巻き込まれる危険性とその対策をご紹介いただく共に、利用のルールを決めることの大切さ、そのルールは"親子で話し合うこと"が重要であることをお伝えいただきました。

写真:株式会社ディー・エヌ・エー 西氏登壇の様子

講演3

ソフトバンクモバイル 安心安全への取り組み

講師:白戸 和美氏(ソフトバンクモバイル株式会社 CSR 企画部)

スマートフォンの利用にはルールが必要であり、ルールを作る際には「みんなで考えよう」「みなおそう」「みまもろう」といった「3つのみ」が大切であるとお伝えいただきました。また、「ネットあんぜん検定」について、安全教室の効果測定としての活用方法を紹介し、子供たちにどういった知識が不足しているのかを知り、そこを補う啓発が必要であるとのお話をいただきました。

写真:ソフトバンクモバイル株式会社 白戸氏登壇の様子

基調講演

スマホ時代の大人が知っておきたいこと

講師:竹内 和雄氏(環境人間学部 准教授 (教職担当))

 竹内氏の研究室で取り組まれている「大学生が小学生、中学生に教える情報モラル授業」についてご紹介、子供たちは大人が危険性を注意喚起するよりも、より身近な大学生から学ぶ方が効果的であるとのご説明をいただきました。
 また子供たちは「先生や親はスマホのことを知らないがゆえに暴走する」と思っており、昨今のスマートフォン利用の環境は、"子供のほうが詳しくて、親が知らないという状況"があり、対策として「子供たち自身で対策を考えていくこと」それを「大人が支援する取り組み」が効果的であるとのご提案をいただきました。その為に、それぞれの立場でできることは何か、という問題提起をもって、パネルディスカッションにつないでいただきました。

写真:竹内氏 基調講演の様子

パネルディスカッション

青少年のインターネット利用環境整備に関する地域連携の取組について

コーディネーター:
竹内 和雄氏(環境人間学部 准教授 (教職担当))

パネリスト:

小城 英子氏(聖心女子大学文学部人間関係学科 准教授)
増尾 賢一氏( 兵庫県PTA協議会監事 / 姫路市連合PTA協議会会長)
麻生 浩之氏( 神戸市立玉津中学校 教頭)
兵庫県立大学 竹内研究室 学生 2名


 はじめに各パネリストの取組みについて自己紹介がありました。
 小城氏からはソーシャルメディアガイドライン作りについて、聖心女子大学での事例をご紹介いただき「罰することよりも指導すること、学生を前科者にしないために守ること」がソーシャルメディアガイドラインの役割であるとお伝えいただきました。
 また、増尾氏から「研修会に来ない保護者への伝達方法」が課題として挙げられ、学校教育でもっとこのテーマについて取り組んでいけないかとのご提案があると、竹内氏・麻生氏から、教育現場でできることは何かを考え、小学生の段階から段階的に教育をしていくことが必要であるとの意見がありました。また会場からは「子供たちが、学校でこの問題について話し合える場があるとよいのでは?」との意見があると、保護者へ直接注意喚起するには限界があるが、子供を通じて保護者にも伝わっていくという伝達手段もあるのではないかといった議論が行われました。またインターネット利用が低年齢層にも広がっていることを踏まえ、会場からは「幼児期の保護者へも啓発教育を拡大してほしい」との意見もあがりました。
 最後は、子供たちを守るために、産官学、それぞれの立場で出来る事を考え、協働することが必要であるというメッセージで締めくくられました。

写真:会場全体の様子