2014年5月24日、「石川県女性センター」において、「青少年安心・安全ネットづくりセミナーin金沢」を開催しました。2つの基調講演とパネルディスカッションを行い、約140名の方が参加されました。

青少年安心・安全ネットづくりセミナーin金沢

基調講演

インターネットの安心・安全な利用環境に向けた取組み

講師:村井 万寿夫氏(金沢星稜大学 人間科学部 教授)

村井先生の講演では、インターネットの教育利用、子供の利用、関係者の取組みについて整理してお話しいただきました。学校教育では平成3年から取り組まれている情報教育ですが、特に平成20年から開始された「情報モラル」が大変重要であること、家庭ではケータイやスマホについて親がよい見本を示し見守ることが必要であるとのお話をいただきました。

村井氏登壇の様子

情報モラル教育についての現状把握と今後の在り方について

講師:花木 陸朗氏(金沢市立千坂小学校 教諭)

花木先生は今春から小学校教諭としてご活躍中です。講演では昨年度の大学卒業論文を中心に、石川県の情報モラル教育の現状と在り方についてお話しいただきました。県内の小学校45校のアンケート回答から、2007年当時は中学、高校で指導されていた情報に関する内容が、2013年には小学校で必要になっていること、また、学校によって対応が大きく異なっていること、などが報告されました。
子供たちの情報モラルの学びのためには、今後、学校、行政、企業等が連携して取り組むことが重要とのお話をいただきました。

写真:花木氏登壇の様子

パネルディスカッション

青少年のネット利用を巡る課題に大人がやるべきこと

コーディネーター:
曽我 邦彦氏(安心ネットづくり促進協議会 副会長)

パネリスト:
村井 万寿夫氏(金沢星稜大学 人間科学部 教授)
花木 陸朗氏(金沢市立千坂小学校 教諭)
田中 敬人氏(石川県PTA連合会副会長)
朝倉 孝之氏(株式会社ディー・エヌ・エー)


まず、田中氏から、石川県PTAの「ケータイ、スマホは原則持たせない」とする活動方針と取組みについて説明がありました。しかしながら昨今ではケータイ、スマホに限らずゲーム機等様々なインターネットにアクセス出来る機器が登場しており、金沢市内の小中学生では8割が何らか通信出来る機器を保有している実態がある。保護者はこれらの機器の問題ではなく「モラル」の問題であることを理解して家庭で向き合うことが大切と話されました。

ディー・エヌ・エーの朝倉氏は、コミュニティサイト上の監視や啓発研修等、企業の取組み説明と、ネットのルールは子供たち自身で考えて作ることが重要と話されました。

パネリストからは、最近のケータイショップには一緒に買いに行く親子が増えており、それはフィルタリングを外して購入するために親に意見するための行動で、外すために店頭でけんかする等の傾向もみられるとのことでした。情報活用能力を小さいころから身につける時代が来ているとの話もありました。また、持たせない政策を通して果たしてリスクが無い世界で子供が育つのか、リスクを体感すべきでは、との意見もありました。

最後に、PTAの田中氏が、優良なネット企業による企業努力の姿勢を感じる一方で、親がこの課題に関心を持って対処しなければ何の解決にも至らないし、子供への責任としてもっと学ぶことが重要であること、そのために関係者の連携も大切である、との意見で締めくくられました。

写真:パネルディスカッションの様子