2014年2月9日、奈良県王寺町「地域交流センター リベールホール」において、文部科学省委託事業 ネットモラルキャラバン隊「奈良県PTA協議会 研修会」が開催され、安心ネットづくり促進協議会が共催しました。基調講演とパネルディスカッションを行い、200名を超える方にご参加いただきました。

奈良県PTA協議会研修会

基調講演

スマホ時代の大人が知っておきたいこと

講師:竹内 和雄氏(兵庫県立大学 准教授/安心ネットづくり促進協議会 特別会員)

竹内氏の講演では、①中学生・高校生・大学生のスマホ事情について、長年にわたる公立中学校での生徒指導や大学でのゼミ指導を通じて明らかになった学生たちの「生の声」を、②なぜ子供たちは「そう思うのか」「そのように行動するのか」について、海外の状況と比較しながら具体的な事例を挙げてわかり易く解説していただきました。
そして、③大人は、まずは「子供たちの現状をしっかり認識する」必要があるとして、スマホにおける大人の常識と子供の常識は違うことを理解し、子供たちの多くは「して良いこと・悪いこと」「ネットに投稿したらいけないこと」等の区別ができない・知らない中でスマホを使っている現状に対して、④「子供を守るのは大人の責任」として、「保護者が関わることの重要性」やその際の姿勢として「A.いつでも相談においで(放任にしない、相談しやすい関係つくり)、B..知っている人を知っている(保護者は何も知らないということに対して)、C.暴走(頭ごなしや話を聞かない)しない」ことが重要など、「スマホ時代に大人が知っておきたいこと、やらなければならないこと」についてご講演いただきました。

講師 竹内氏講演の様子

パネルディスカッション

 「子供たちのネット問題に対して、大人がやるべきこと」

コーディネーター:
曽我 邦彦氏(日本PTA全国協議会 元会長/安心ネットづくり促進協議会 副会長)

パネリスト:
竹内 和雄氏(兵庫県立大学 准教授/安心ネットづくり促進協議会 特別会員)
川又 竹男氏(文部科学省 スポーツ・青少年局 青少年課長)
楳原 敏男氏(五条東中学校 生徒指導主任)
出口 隆司氏(奈良県PTA協議会会長)
中川 克之氏(奈良県くらし創造部 青少年・生涯学習課 課長補佐)


はじめに、パネリストのそれぞれの立場(学校、保護者PTA、行政等)から、ネット問題の現状についてお話をいただき、学校で起きている問題事例やSNSを介して起こっている問題に対して、それぞれの立場から「大人が子どもを守らなければいけない」、「SNSに対する問題意識を高めてほしい」、「啓発活動が何よりも重要」などの問題提起をしていただいた後、「子供たちのネット問題に対して、大人がやるべきこと」についてパネルディスカッションを行いました。
その中で、ペアレンタルコントロールやフィルタリングについて、会場参加者の多くの方の「知っているが充分できていない」という声に対して、「フィルタリングは使いにくい」「子供が嫌がる」「家庭内のコミュニケーション不足」「なぜ自分の子供を守ろうとしないのか」「子供たちを被害者にも加害者にもさせない」「「保護者は判断できる情報をもっていない」「保護者に対してきめ細やかな研修が必要」などの意見が上がりました。
また、奈良県では青少年健全育成条例が一部改正(平成25年10月1日施行)され、携帯電話インターネット接続役務提供事業者等に対する説明義務の強化や保護者の責務の強化が図られており、今後フィルタリングの利用率の向上が期待されることや、そのためには学校・保護者PTA・行政が連携・協力して、奈良県における青少年インターネット環境の健全化に向けて取り組む必要があることなど、今後の取り組みの方向性について参加者全員で確認しました。
そして、「学校・保護者PTA・地域(行政)が連携して子供たちを守る」「大切なのは私たちの'心'」「奈良県を全国の先駆けとして成功事例にしよう!」と締めくくられました。

パネリスト3名の方の様子

【子供をケータイの犯罪やトラブルから守るフィルタリング宣言】
パネルディスカッションの後、出口氏(奈良県PTA協議会会長)より、「スマホ・ケータイのトラブルから子どもを守る宣言」が提案され、参加者全員賛成で採択されました。

登壇者の方の様子