ILAS検討作業部会では、総務省がILAS(Internet  Literacy Assessment indicator for Students /青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標)の取り組みにより定義をした7項目のリテラシー分類をもとにして、小学生から大 人まで短時間で実施ができるテスト及び解説集を開発し、全国の保護者1,327名、高校生365名、中学生601名、小学生709名、合計3,002名を対象としたインターネット・リテラシー実態調査を実施し、調査結果を最終報告書として公開しました。

2015年度 青少年と保護者におけるインターネット・リテラシー調査 安心協ILAS 最終報告書

pdfファイル2015年度 最終報告書(PDF:1.4MB)

安心協ILASの活動総括

 本年度は安心ネットづくり促進協議会関係者の「青少年インターネット健全利用」への啓発意欲とPTA(日本PTA全国協議会・全国高等学校PTA連合会)等の多大な協力によって、昨年度に引き続き約3千人規模(全体の協力者数3,002名:保護者1,327名、高校生365名、中学生601名、小学生709名)のテスト実施から分析までのとりまとめにつなげることが出来た。

 昨年度のテスト問題と解説を公開したことにより学校授業やPTA等の研修会にてネット利用理解度の確認やおさらいの為に「安心協ILAS」を実施する事例も出てきており、安心協ILASの普及啓発のためのツールとしての有効性が高まってきている。

啓発活動との連携について

本報告書「2.調査結果総論」からの考察、啓発活動への提言は以下の通り。

【保護者に向けて】

・保護者90.6%、高校生83.1%、中学生81.2%、小学生77.4%と年齢が高くなるにつれリテラシーは高くなっている。

・ 安心協ILASが定めたリテラシー基準において、保護者のリテラシーは低いとは言えない。これは、安心協ILASに定められた情報リテラシーやモラルに関する知識を有していることを意味している。
・ これまで言われてきた「保護者のリテラシー不足問題」のトレンドが変化してきていると考えられる。

・ 青少年のネットのしつけに自信がある保護者の方が、自信がない保護者よりもリテラシーが高いという傾向にある。このことから、保護者のリテラシーを高めることは、家庭におけるネットのしつけの質の向上に良い影響をもたらすと考えられる。

・ 子どもに対する指導に自信がないことについては、以下の要因が考えられる。
 親の目の届かないところでの利用に対する適切な指導方法が見いだせない。
 制限すべきか、子どもを信じてある程度放任すべきかのバランスを決めきれない。
 子どもたちが利用している最新機器、最新アプリ、そこで起きている問題についてどのように対処していいかわからない。

・ 以上のことから、保護者に対する啓発教育は、知識習得型の教育よりも、最新機器・アプリを介して起きている問題関する事例を伝えること、その対処を伝える解決方伝授型教育やベストプラクティスの紹介が有効になると考えられる。

【青少年に向けて】

・小学生のテスト問題中の「言葉の意味が分からない」との選択率は、他の年代よりも高い。この結果から、小学生はネットに関連する用語についてはよく分かっていない状況の下で、感覚的にネットを利用していることが考えられる。
・このことから、特に小学生年代においては、セーフティゾーンが確保されたネット利用環境が必要と言える。今一度、青少年保護バイ・デザインを考えるべきである。

・年代別の利用サービスをみてみると、高校生においてはSNSやコミュニケーションアプリの利用率が高く、小学生では動画が高いと言う結果となった。このことから、各年代に応じた啓発教育内容の決定、保護指導対策を講じていく必要があると言える。

・各年代において、啓発教育を受けた経験のある被験者の方が、経験のない被験者よりもリテラシーが高いと言う結果となった。このことから、啓発活動を拡充する方策、各地域で啓発活動を実践できる体制の構築・支援が重要になるであろう。

・啓発経験がないと回答した中学生と小学生が、それぞれ11%という結果となった。これらの年代に対して、あまねく啓発教育を提供する必要があると言えよう。

「安心協ILAS」テスト及び解説集

pdfファイル安心協ILAS2015 テスト(小学生)(PDF:1.1MB)

pdfファイル安心協ILAS2015 解説(小学生)(PDF:1.6MB)

pdfファイル安心協ILAS2015 テスト(中高生)(PDF:343kB)

pdfファイル安心協ILAS2015 解説(中高生)(PDF:383kB)

pdfファイル安心協ILAS2015 テスト(保護者)(PDF:347kB)

pdfファイル安心協ILAS2015 解説(保護者)(PDF:383kB)

「安心協ILAS」活用事例

「ネットあんぜん検定」(ソフトバンク株式会社) 2014年2月リリース
- スマホ、タブレットのフィルタリングアプリ「Yahoo!あんしんねっと」内の1機能としてインターネットリテラシー判定と結果に適した対策方法を紹介。
- タブレットを活用し地域の行政機関と連携して、小中学生の情報授業の前後での効果検証にも活用
http://www.softbank.jp/corp/csr/internet/instance_02/

「ネットスキル診断」(KDDI株式会社) 2016年3月リリース
- WEB上でクイズ形式の設問に答えることで、インターネットを安心・安全に利用するための知識を深めることができる。
- テスト結果に応じたアドバイスが表示されるため、保護者の方がお子さまに安心・安全なインターネットの利用を促す一助としても活用可能。
http://www.kddi.com/family/shindan/index.html