2015年2月1日、クレオ大阪東において、文部科学省委託事業「ネットモラルキャラバン隊(主催:大阪市PTA協議会、株式会社メディア開発綜研)」が開催され、安心ネットづくり促進協議会が共催しました。基調講演とパネルディスカッションを行い、約170人の方が参加されました。

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(主催者挨拶 公益社団法人日本PTA全国協議会 業務執行理事 大阪市PTA協議会 会長 笹川 正明)

ネットモラルキャラバン隊(大阪市)

基調講演

家庭や学級で語り合う スマホ時代のリスクとスキル

講師:竹内 和雄氏(兵庫県立大学 環境人間学部 准教授(教職担当))

 竹内氏の講演では、小学生・中学生・高校生・大学生のスマホ事情について、竹内先生ご自身の生徒指導の経験や大学でのゼミ指導等を通じて明らかになった学生たちの「生の声」を、なぜ子供たちは「そう思うのか」「そのように行動するのか」について、具体的な事例やアンケート調査等を挙げてわかり易く解説していただきました。

 そして、インターネットに関するトラブル等はスマートフォンやツール等の問題ではなく、コミュニケーションの問題であるとして、大人は、まずは「子供たちの現状をしっかり認識する」必要があること、「子供を守るのは大人の責任」であるということ、そのために「子供との日頃のコミュニケーションづくり」が重要であるということについてご講演いただきました。

 最後に、大人が勝手にルールを作っても子供達に響かない。子供の成長過程に応じて、他律から自律に向けて、学校・保護者PTA・地域(行政)が連携して「子供たち」のために、「関係者で何ができるのか一緒に考えましょう」と問題提起され、パネルディスカッションへとつないでいただきました。

写真:竹内氏講演の様子

パネルディスカッション

会話から対話へ ~子供と話そうネットのこれから~

コーディネーター:
曽我 邦彦氏(安心ネットづくり促進協議会 副会長/日本PTA全国協議会 元会長)

パネリスト:
竹内 和雄氏(兵庫県立大学 環境人間学部 准教授(教職担当))
小林 良堂氏(大阪市PTA協議会 副会長)
関口 直樹氏(文部科学省 スポーツ・青少年局 青少年課長(併)参事官(青少年健全育成担当)付推進係長)
川口 洋司氏(一般社団法人 日本オンラインゲーム協会 事務局長)


(竹内氏説明要旨)
 子供の成長段階に応じて、何をどうしていくべきかを各省庁、教職員、PTA関係者全員で子供を中心に考えていくことが必要。子供の心の問題に保護者や学校、関係者が子供達に寄り添い、みんなで話し合う過程が大切である。また、インターネットやスマートフォンについての会話をきっかけに子供とのコミュニケーションを図って欲しい。

(小林氏説明要旨)
 大阪市PTA協議会でも保護者からインターネットに関する研修会開催の要望が増えてきている。子供達と「ネットモラルについて」向き合っていきたい。子供と向き合うために、保護者が一緒に学んでいく姿勢、また保護者自身が考え、行動で示していくことが大切である。

(関口氏説明要旨)
 子供達の健全なインターネット利用環境を作るために、文部科学省としては学校現場のみならず、PTAや関係団体、また、各関係府省庁と連携して取り組んでいくことが大切である。引き続き取組んでまいりたい。

(川口氏説明要旨)
 オンラインゲーム市場は拡大してきている。市場が拡大するとトラブルも多くなってきた。業界としてはガイドラインを作成し、様々なゲームに係る課題、とりわけ高額課金について取り組んできた。課金ユーザは小学校低学年も多いため、これからも、継続的な取り組みが必要である。

  また、会場からは「電磁波について不安である。」「携帯販売店等でのフィルタリングの説明がわかりづらい。」「子供達のために何ができるのか考えるきっかけになった。」といった幅広い意見等も寄せられ、パネリストだけでなく、客席に参加した関係者も交えて活発な議論が行われました。

  最後に、コーディネーター・曽我氏から、青少年が賢く適切にネット利用をするために、ルールづくりをしていくこと、またルールを作るまでのプロセスとして、保護者や教育関係者、青少年を取り囲む関係者が子供を見守りながら、コミュニケーションの機会を増やしていくこと、また自分の身を自分で守れる子供を育てていくことが重要であるとのお話で締めくくられました。

写真:パネルディスカッションの様子