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高校生ICT Conference 2021 in 長野

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開催概要

日時:

2021年10月9日(土) 10:00-17:30

場所:

Zoomよるオンライン開催

参加人数:

熟議参加生徒 20人
見学者    22人(教員・教育関係者・その他)
合計     42人

参加校:

松本工業高等学校
松川高等学校
明科高等学校
松本美須々ヶ丘高等学校
 (順不同)

高校生、教員、企業関係者など42名の参加者を得て、Zoom を使ったオンライン形式で、「フェイクを見極める」をテーマに高校生がグループに分かれて活発な議論と発表を行いました。

 

【熟議】

司会進行・主旨説明

開会の挨拶

 長野県教育委員会事務局心の支援課長 滝澤 崇 様

長野大会は7回目になる。「フェイクを見極める」というテーマで熟議が行われるが、今日話したことを活かして、周りの高校生や社会にも良い影響を及ぼしてほしい。

 

来賓挨拶

 総務省 信越総合通信局 情報通信部 電気通信事業課長 太田 伸一 様

ネットの世界にはフェイクがあふれている。今までに様々なフェイク情報があり、傷ついた人や苦しんだ人も出ている。最近では新型コロナうウィルス感染症に関係するフェイクが多い。情報に接したとき、鵜呑みにするのではなく、発信源などを確かめなければならない。

 

事業者講演

 ByteDance 金子陽子 様

フェイクニュースは2016年頃、米大統領選から世間で話題に上がるようになった。場合によってはそれが報道でも扱われ、大きな問題になる こともある。それが事実なのか確かめる手段を持つ必要がある。

     

第1部: 熟議「フェイクを見極める」

 ①参加校が事前に準備してきたプレゼンテーションを発表
   ②グループごとに熟議(3グループ)

  長野県内の大学生をファシリテーターとし、参加高校生が部ループに分かれて熟議を行った。

  ・自己紹介
      ・アイスブレイク
      ・テーマに対する熟議

 

第2部: 学校ごとに熟議で得たことを共有し、提言をまとめる

各グループともプレゼンテーションソフトを活用して3分程度の発表を行いました。(詳細は別紙「グループ発表資料」をご参照ください)

【グループ名:1】7名

〔ファシリテーター〕野々山 温(県警学生ボランティア)
                         (補助)井原成経(岡谷工業高校教諭)

1.熟議の内容
グループ1では熟議のポイントを1.なぜフェイクが生まれるのか、2.フェイクとネットの親和性、3.騙されないためには、4.有用なものを見逃さないために、5.安心して活用できるネット社会への5つに分けそれぞれ検討していった。

2.なぜフェイクが生まれるのか
まず、なぜフェイクが生まれるのかという点に関して、多くの高校が利益を発生させるため、そして自己顕示欲を満たすための大きく2つの理由を考えていた。特に二つ目の自己顕示欲を満たすためという理由に関しては、「人を困らせて快感を得たい」、「面白半分」や「正義感による善意の交錯」など具体的な意見が多くみられた。
また、この2つの理由に関連して身の回りのフェイクはどちらの傾向が強いのか考えたところ、自己顕示欲を満たすためのフェイクが多いという意見が多く、スマートフォンやパソコンなどの電子機器が身近になり個人がフェイクニュースを発信しやすくなったためではないかとの指摘があった。

3.フェイクとネットの親和性について
次にフェイクとネットの親和性について検討した。その結果、「現代社会での心理戦にフェイクが向いているから」や「身の回りの情報が依然と比較して多くなったから」などの意見が出たが最も多かった意見は「フェイクを作成する技術の一般化」と「若い世代のネット利用の増加」であった。この結果からやはり前項で述べたようにスマートフォンやパソコンなどの電子機器の一般化がフェイクの拡散に大きな影響を与えていることがわかり、改めてフェイクとネットの親和性の高さが伺えるような内容となった。

4.騙されないためには

次に、実際に騙されないためにどのような対策が必要か考えた。特にグループ1は騙されないための対策を心構えと具体案の二つに分けて考えていった。
まず、心構えに関しては、「一つの情報を鵜呑みにしない」や「疑う心をもっておく」、「自分に対して有益な情報を信用しない」など各高校で同じような意見が出た。よって高校生としてはそもそもネットの情報を信用しないという考えが強いように思える。
また、具体案としては、「迷惑メール場合メールアドレスを検索する」、「親や先生に相談する」、「国に認証機関が欲しい」といった意見が出た。ただ、親や先生に相談するという意見に関しては学校にそういったことを相談できる先生がいるかどうかアンケートをとったところ約半数の生徒がそういった先生がいないとの回答だったので、今後学校としても相談先を設けるなどもっと具体的な対策が必要であると感じた。
さらに、ファクトチェックのサイトを今後利用するかについてもアンケートを取ったところこれに関しても約半数の生徒が利用しないとの回答だった。その理由としてはそういったサイトがあることをそもそも知らないということがあげられ、今後行政としてそのようなサイトを開設したり、発信していく必要があると感じた。

5.有用なものを見逃さないために
次に有用なものを見逃さないためにそうするべきかを考えた。これに関しては時間の関係もあり多くの意見を聞くことができなかったがやはり騙されないための対策と同じように「親や先生に相談する」や「ネット以外の情報源をもつ」「一つの情報を鵜呑みにしない」などの意見が出た。

 

6. 安心して活用できるネット社会へ
そして、最後に安心して活用できるネット社会を作るためにどうしていくべきかを各学校ごとにまとめてもらった。具体的には「フェイクに騙されないために日ごろから正しい情報を得ていく、意識していく」、「情報の免疫力をつけていく」、「自分で考えつつ、完全に信用しない。あくまで参考意見として自分に取り入れていく」、「ネットに対して考えていく機会を増やしていく」という4つの意見がでた。特に免疫力という言葉は高校生が考えたとは思えないほど的を射ている言葉であり、自分自身も今後情報にふれる上で大事にしていきたい言葉である。

 

【グループ名:2】6名

〔ファシリテーター〕久保田 大翔(県警学生ボランティア)
                          (補助)細谷冴理(豊科高校教諭)

問1なぜフェイクは生まれるのか

・目立ちたいから ・目が向けられてうれしい ・注目されたい ・達成感を感じたい
・達成感を感じる ・詐欺メールで金銭目的 ・相手のことが羨ましく陥れたい
・承認欲求 ・認められたい


問2フェイクとネットの親和性

・困ったらネットにすぐ頼る ・暮らしと密接だから ・即共有できる(嘘の真偽を確かめられない) 
・使いやすい ・匿名だから言いやすい ・発信しやすい


問3騙されない為にどうすれば良いか

・フェイク系には文章がおかしいものが多い→自分が変だなと思った直感を大切にする
・文章表現やいつ書かれたものなのか確認する
・一度怪しいと思ったら立ち止まって最初から疑ってかかる
・授業等で習い、フェイクに関する知識を蓄える
・すぐ乗らない、流行に乗らない
・周りの人(親や親族、先生といった大人)に聞く。間違った情報をネットで調べても間違った情報が出るかもしれないから
・自分の世界だけで解決しない
・ネットから離れて考える ・視野を広げて考える


問4有用なものを見逃さない為に

・公式サイト、公式アカウントを調べる
・文章だけでは信用できないので、動画、写真等を確認する。
・ただ書かれたものではなく、顔や誰が書いてあるもの選択したり、確認する。
・日時等を確認して最新のものを取り入れる。⇨どこがなぜ変わったのか、どいう風に変わったのか調べる。


問5安心して活用できるネット社会へ

・自分でまず考える。立ち止まって考える
・どうして発信したのか等を考えられる力を身につける
・一つだけの情報を鵜呑みにするのではなく、複数の情報を調べてその中から選択する。
・発信する側が変わることが大切。
・国や企業が信じていい情報かどうかを認証してくれるようなサイトが増えるといい
・通報する機能をつけて私たちからも教えてあげる。


松川高校

苦労:調べるのが大変で似たものがあってまとめるのが大変だった
良くできた:みんな意見をいってくれてまとめやすかった
工夫:みんなが見やすいように箇条書きにした。フェイク側の視野にたった

美須々ヶ丘高校

苦労:アンケートを取ったが予想したものとは異なり、新しく考えるのが大変だった
良くできた:しっかりまとめることができた
工夫:しゃべる速度や見やすさ


明科高校

苦労:愛知県警を攻めるだけでなく、思いにたったところ
工夫:見やすいようにつくった


松本工業高校

苦労:行き着く考えが同じで考えが広がらなかった
工夫:工業高校だからできたことを取り入れることができた


反省

・二人で参加している学校や一人でもハキハキしている子は積極的だったが、一人で参加している子も言ってはくれるが少し一歩さがった印象だった。やはり、二人だと相談できたりするが一人だとどうしても緊張してしまい、言いづらかったのでは
・誰かが意見を言った時の反応。大きくうなずくや、相づちをうつといったリアクションがもっとあれば良かった

 

【グループ名:3】7名

〔ファシリテーター〕柳沢 奈々子(県警学生ボランティア)
         (補助)高橋三智枝(長野西高校中条校養護教諭)
             塩本真崇(上田東高校教諭)                                                                    

1自己紹介

積み木自己紹介をおこなった。ニックネームでの自己紹介だったが、ニックネームを考えられなかった等の理由からフルネームで自己紹介をする高校生メンバーが2人いた。ニックネームは少しハードルが高いようにも感じた。

2アイスブレイク

たけのこにょっきというアクティビティを行い、アウトになった高校生には、罰ゲームとして「好きなアーティスト」と聞いた。マニアックなアーティストの名前が出てきて少し盛り上がった。指運動では、和やかな雰囲気づくりを行うことができた。

3プレゼンテーション感想共有

プレゼンテーション感想共有においては、プレゼン作成時に困ったことや、メンバーとの意見交換の難しさ、そもそもフェイクという題材が難しかったという声が多く出た。また、プレゼンテーションで事例を交えることで分かりやすく発表できた、同じ事例を用いたプレゼンがあったなど、他校のプレゼンテーションを聞いて学んだことも多くあったように感じる。

4フェイクについての熟議

身近にあったフェイクの事例をあげ、フェイクに騙された理由や騙されないための対処法を考えていった。身近にあったフェイクとして多かったものは、動物園のライオンが逃げ出した・インスタのストーリーでDMを送ればお金がもらえるなどSNSを使っている際に目にするものが多いように感じた。

 【騙される理由としてあがったもの】

・知らない情報・新情報は信じやすい
・自分においしい話がある飛びつきたくなってしまう
・SNSのような日常使いする媒体において情報を収集すると、真剣に考える時間があまりなく簡単に判断し信じてしまう
・日常生活に支障がでそうなこと(事例:トイレットペーパー事件)については簡単に信じといった多くの意見がでた。

 【騙されないためには】

・多くの情報を取り入れ、様々なプラットフォームや情報の比較を行う
・情報が多くの人に知れ渡っているからといって信用しない
・信頼している家族や友人と情報についての真偽を考える

騙されないために、多くのメンバーが情報をたくさん得ることが大事という意見を出していた。そこで、私は昔にあった例:松本サリン事件の誤報報道 河野さんのことについて話をし、公的な報道機関においても100%信用することの怖さや、多くの人が信頼している機関の情報においても疑いの目は常に持っておくことの重要性を示した。


 最後に「ネットを活用するには」をまとめとしてメンバーに聞いた。

 【ネットを活用するには】

・不安要素の改善には、情報を見極め、自分で考えることが大事
・ネットフェイクを完全になくすことは不可能であるが、SNSサービス提供社は通報など機能を付けることが大事
・情報リテラシーの授業を強化する
・自分の考えを軸において、冷静になってパニックにならずネットを使う
・自分の考えでも思い込みだけでなく、いろんな人に聞き相談できることは相談する

 フェイクを見極めること・ネットをうまく活用することは親和性がある。特に、ネットを活用する際にみる情報の真偽を確かめなければならない場面が多くあるからである。物事には必ず裏と表が存在し、現在の世の中は、一つの情報が孤立して存在している世界ではない。裏を変えれば、多くの情報・現象が一つの物事・多くの物事に対しつながっているのが現代であるといえる。だからこそ、フェイクを見極めるためには様々な視点から見た多くの情報が必要であること、得た情報や報道を個々独立して考えるのではなく、つながっているかもしれないという考えを持ちながら、生活していってほしい。

 その後、参加生徒により、11月3日に開催される東京サミットに行く代表校の選定投票を行い、松本工業高等学校が代表校に選出され、発表されました。

 

講評

 最後に矢澤 智都枝(子どもとメディア信州)様から本日の講評をいただきました。

集合

「開催報告書」他

pdfファイル 開催報告書(長野)

pdfファイル 発表資料(松川高等学校)

pdfファイル 発表資料(松本工業高等学校)

pdfファイル 発表資料(松本須々ヶ丘高等学校)

pdfファイル 発表資料(明科高等学校)

pdfファイル 熟議資料(久保田班)

pdfファイル 熟議資料(野々山班)

pdfファイル 熟議資料(柳沢班)

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