スマホ新法に関する意見提出(パブリックコメント)
2025年06月13日
「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三条第一項の事業の規模を定める政令等の一部を改正する政令(案)」等に関して意見募集が行われましたので、ペアレンタルコントロール機能が十全に機能する環境が整備されるよう、次のとおり意見を提出しました。
「スマホソフトウェア競争促進法に関する指針(案)」(別紙4)に対する意見
【総論】
スマホ新法により選択可能となった、新たなアプリストア等のサービスやブラウザ等のデフォルト設定の選択を青少年が行う場合、青少年保護機能である「ペアレンタルコントロールの仕組み」が十全に機能する環境を確保すると共に、その利用法法を十分に周知する必要がある。
現在のペアレンタルコントロールの内容は、従来の青少年から有害情報に触れさせないとう機能に留まらず、利用時間や課金のコントロールなど利用方法全般に及び、保護者が青少年にスマートフォンを利用させるうえで重要なツールになっている。
このため、新たなアプリストア等の利用、指定事業者以外のブラウザエンジンの選択可能化、指定事業者以外のサービスのデフォルト設定可能化など、スマホ新法の施行に際し、ペアレンタルコントロールの仕組みが十全に機能する必要があると同時に、保護者が操作する際に混乱しないよう配慮される必要がある。したがって、ペアレンタルコントロール機能を保護者が適切に利用できるようにするために指定事業者が必要な措置を行うことについては、正当化事由に該当するものとする必要がある。
また、スマートフォンのペアレンタルコントロール機能について、デフォルト設定以外の設定が必要となる場合は、その利用方法が理解されなければ、青少年保護の目的は達成されない。したがって、スマホ新法下での、ペアレンタルコントロールの利用方法について十分な周知が行われるべきと考える。
【各論】
指針案 879行目から898行目
正当化事由中「c スマートフォンの利用に係る青少年の保護」について
【意見】
具体例には、以下の点を追加すべきである。
・指定事業者以外のブラウザエンジンにつき、青少年保護の見地から、ウェブフィルタリングが十分に機能しているかどうかの要件を設け、当該要件を満たすか否かの審査等を事前に行った上で、青少年が利用している端末における代替ブラウザエンジンの採用の可否を判断すること、または、青少年保護の見地から、ペアレンタルコントロール機能として、保護者の同意に基づき、代替ブラウザエンジンの利用を未成年者に対して制限する対応
指針案 994行目から1056行目
(ア)正当化事由があると認められ、違反とならない場合について
【意見】
想定例として以下を追加すべきである。
・代替アプリストアが独自にレイティングを実施する場合、指定事業者が、当該レイティングの適切性の維持及び指定事業者が行うレイティングとの整合性に関し協議を行い、利用者が、ペアレンタルコントロール機能を円滑に利用できるよう求めることおよび協議不調の間は、代替アプリストアの提供を禁止すること
(理由)
・自ら運営するアプリストアの適正な運営に責任を負うことは当然であるが、青少年保護の観点からも、例えば、アプリレイティングが適切になされること、及び、代替アプリストアが提供するアプリにおいても、ペアレンタルコントロールが的確に機能することは青少年保護の観点から重要である。
指針案 3003行目から3022行目
法12条にかかる基本的な考え方について
【意見】
・同条には正当化事由がないものの、青少年保護の見地から、青少年が利用する場合の標準設定については、ペアレンタルコントロール機能が円滑に利用できる個別アプリ、ブラウザのみを選択可能とする措置が許されることを示すべきである。また、選択画面においても、青少年が利用する場合には、選択した個別アプリ又はブラウザがペアレンタルコントロール機能上、どのような変更をもたらすか、また、設定変更を要求する場合は、かかる設定変更の方法を明確に示すことが必要であることを明記すべきである。
(理由)
・スマートフォンにおけるペアレンタルコントロール機能が現状OSに依存しているため、標準設定を変更した場合のペアレンタルコントロール機能が従前どおり発揮されるかにつき懸念なしとしない。青少年保護の観点からは、標準設定を変更したことにより、利用者が意識しないまま、ペアレンタルコントロール機能が機能しない、または必要な設定変更をしないことにより、機能しないこととなる事態を避ける必要がある。
指針案 3115行目から3136行目
【意見】
・選択画面における選択肢について、青少年が利用する場合にペアレンタルコントロールが十分に機能するもののみを選択肢とすることは、同号イで要求された措置を満たすものと言えることを加筆すべきである。
(理由)
規則第28条第2項第1号イにおいて、指定事業者が求められるのは、選択画面において、スマートフォンの利用者における選択の機会を確保する観点から客観的かつ合理的な選定基準に基づき選定された複数の個別ソフトウェアが選択肢として表示されるようにすることであるところ、このような選択肢の表示はまさに「客観的かつ合理的な選定基準に基づく選定」といえるものである。
指針案 3159行目から3171行目
【意見】
・選択肢にかかる表示事項について、ペアレンタルコントロールが十分に機能するか、また機能する場合の設定方法等の青少年保護に関する客観的・合理的な説明・注意を加えることは、同号ハの観点からは許容されることを加筆すべきである。
(理由)
規則第28条第2項第1号ハにおいて、指定事業者が求められるのは、選択画面における選択肢の表示の順序その他の選択画面の表示が、スマートフォンの利用者の選択を阻害するものでないことであるところ、青少年保護に関するこのような説明・注意は、スマートフォンの利用者の合理的な選択を支援するものであって、選択を阻害するものではない。
以上