2015年2月21日、愛媛県生涯学習センターで、「第60回松山市PTA研究大会」が開催され、安心ネットづくり促進協議会が協力しました。基調講演とパネルディスカッションを行い、約500人の方が参加されました。

松山市PTA研究大会

基調講演

「スマホ・SNS時代を生きぬく情報モラルの力」

講師:桑崎 剛氏 
(安心ネットづくり促進協議会 特別会員/熊本市立総合ビジネス専門学校 教頭)

 基調講演では、携帯電話やスマートフォン以外にもゲーム機、音楽プレーヤーやデジタルカメラなどのデバイスが多様化している環境が説明されました。
子供たちは、幼児期からインターネット社会の中で育ってきているため、保護者が育った環境とは全く異なっていることなどをお話しいただきました。そうした中で、子供たちに安心・安全に、また適切にインターネットを使わせるためには、ルールづくりが重要であることや社会規範意識を育てることが基本であるとのお話がありました。

 また、「①人間関係」「②情報発信」「③健康課題(体と心の健康)」「④情報セキュリティ」「⑤経済課題」の5つの課題を挙げられ、「それらの課題に対して関係者が何をできるのか、みんなで考えましょう。」と問題提起もされ、パネルディスカッションへとつないでいただきました。

写真:講師 桑崎剛氏登壇の様子

パネルディスカッション

子供のネット利用の状況と対策を知っていますか? 
 ~ペアレンタルコントロールについて考えよう~

コーディネーター:
桑崎 剛氏 
(安心ネットづくり促進協議会 特別会員/熊本市立総合ビジネス専門学校 教頭)

パネリスト:
髙田 智世氏 (松山市小中学校PTA連合会 副会長)
菅田 英治氏 (松山市小中学校生徒指導連絡協議会 会長)
丸山 謙一郎氏 (株式会社NTTドコモ 経営企画部)
永坂 武城氏 (一般社団法人・情報教育研究所 代表理事)


(髙田氏発言要旨)
 松山市PTAではスマートフォンやインターネットについての研修会を平成22年度より継続的に実施している。
日々進化しているネット社会で子供達が賢くインターネットやスマートフォンを活用できるように保護者も学んでいくため、松山市小中学校PTAで作成した啓発ソング「携帯用心坊」を紹介した。

 (菅田氏発言要旨)
 平成26年に実施した、愛媛県内の小学校6年生、中学校3年生を対象としたスマートフォンや携帯電話に関するアンケート結果を紹介。
自分専用のスマートフォンや携帯電話の所持率は小学校6年生約40%、中学校3年生が約50%。スマートフォンや携帯電話以外のインターネット接続可能な機器(PC、ゲーム機、音楽プレイヤー等)の所持は小学校6年生84%、中学校3年生81%と高い所持率であった。インターネット利用環境の低年齢化傾向もあり、生徒指導連絡協議会でも保護者や学校と連携して対策を進めていく。

(丸山氏発言要旨)
 子供達が健全にインターネットを利用するためには発達段階に応じたインターネットの活用能力・リテラシーを身につけることが必要であり、子供達を見守る保護者・教職員も子供の手本となる使い方を意識することが大切。
自社で行っているアクセス制限サービスやスマホ・ケータイ安全教室を活用して欲しい。

 (永坂氏発言要旨)
 愛知県刈谷市でのスマートフォンの利用ルールについて「9時までの利用」が注目されているが、保護者が子供達のスマートフォンやインターネット利用について考えるきっかけ作りが本来の目的であったと「Kくん物語」として実例を紹介した。

 また、パネルディスカッション中には地元の大学生がコミュニケーションアプリで議論の内容に関連した多くのコメントを送ってくれました。
知人がゲームで10万円の課金をしてしまったという実例やスマホやインターネットの利用時間を「何時まで」と決めるよりも、「宿題等やらなければならないことを済ませてから使う」といったルールの方が有効といった意見、また、親子でスマートフォンをきっかけにしたコミュニケーションを取れればいいといった感想等が寄せられました。
 
 最後に、コーディネーター桑崎氏から、情報モラルの熟成には時間がかかるということ、青少年が賢く適切にネット利用をするためにルールづくりをしていくことやルールを作るまでの取組みのプロセス自体が教育になるということ、また保護者や教育関係者、青少年を取り囲む関係者が子供を見守りながら、コミュニケーションの機会を増やしていくことが重要であるとの話で締めくくられた。

写真:パネリスト 登壇の様子