11月10日の「もっとグッドネットin大分」は、別府市のビーコンプラザで、ネット教育のアナリストの尾花紀子氏が「ITが得意でも苦手でも"大人だから"できることがある!」、総務省九州総合通信局の門田茂電気通信事業課長が「子どもたちに正しく伝えるために、大人がネットのリスクを学ぶ〜e-ネットキャラバンを活用しよう!〜」と題して講演。

同日、佐伯市立渡町台小学校では、安心ネットづくり促進協議会の石原友信事務局次長が「ケータイ・ネットにおける子どもたちの利用実態と対策について」と題して講演した。

◆基調講演◆

ITが苦手でも"大人だから"できることがある!
~未来の優れた使い手を育てる、被害者候補にも犯罪者予備軍にもしない~

尾花紀子氏/ネット教育アナリスト・安心ネットづくり促進協議会普及啓発副委員長

写真:基調講演で登壇する尾花紀子氏

インターネットは刃物に似ています。

刃物は、衣食住のどれにも必要だけれど、間違った使い方をすれば凶器になります。しかし、危ないからといって取り上げてしまっては、本当に必要になったときに誤った使い方しかできなくなってしまいます。

ネットは、正しい使い方をすれば生活に大いに役立ち、子どもの可能性を広げます。今の20代以下は、インターネットの使い方を習わずに、自由気ままに使い始めた世代です。子どもたちがインターネットを使うのは、携帯電話からがほとんど。いつも持ち歩いていて気軽な感覚があるので、手元の機械が世界とつながっている恐ろしさを実感している子どもは少ないです。

例えば、自己紹介サイトの「プロフ」。

血液型や星座、住んでいるところ、学年、趣味など何十種類もの項目にわたって自分のことを書き込みますが、ページの下にある「myリンク」という項目を、備忘録として使っている子どもが多い。そこから友達のページにジャンプできますが、その友達のプロフに本名や学校名が分かりそうな書き込みがあれば、そこから自分の名前が特定される可能性があります。

そうやってmyリンクをたどっていくうちに、携帯電話を持っていなくても、友達の携帯電話から知らないうちに自分の情報がもれているということも起こり得ます。今はもう、子どもに携帯電話を持たせていないからといって安心できる時代ではないのです。

インターネットのプロバイダーや携帯電話事業者のサービスに「フィルタリング」があり、子どもに見せたくないサイトにアクセスできないようにすることができるので、利用してください。

しかし、わたしは、自分の子どもの携帯電話すべてにフィルタリングをかけていません。

携帯電話を子どもに持たせている親は、買い与える時にルールを決めて、後はほったらかしというケースが多いけれど、子どもは次第にルールを守らなくなるもの。ルール違反をしたら、なぜそれがいけないのかが分かるように、その都度きちんと怒りましょう。

「フィルタリングを緩めてほしい」と子どもから相談されたら、その時もしっかり話し合ってください。フィルタリングを、親子の話し合いのツールとして使いましょう。

インターネットを使っていると、脳の中に経験が積まれ、そのサイトが危険かそうでないかが感覚で分かるようになります。子どもは毎日インターネットをしています。せっかくなら、きちんとした使い方を教えて、それを子どもの経験値に変えていきましょう。

大分合同新聞2009