2014年2月21日、福岡市「アクロス福岡」において、文部科学省委託事業 ネットモラルキャラバン隊「福岡県PTA連合会 研修会」が開催され、安心ネットづくり促進協議会が共催しました。基調講演と会場トークセッションを行い、約120名の方が参加されました。

福岡県PTA連合会 研修会

基調講演

子供たちが賢く健全にデジタル時代を歩むために

講師:玉田 和恵氏(江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 教授)

玉田先生の講演では、子供のネット利用で起こっている課題として「コミュニケーションで起こるトラブル」「依存」「被害にあうこと」の3つを中心にお話しいただきました。特に、ネットのコミュニケーションは感情的な伝達には向かず、メールは伝わりにくく誤解が起こるものであること、書き込みは一生残ることなどを説明いただきました。
保護者が理解するうえで「情報モラル」は「日常のモラル+仕組みの理解」であること、また、保護者がやるべきことは「あなたにとって今一番大切なことは何か」を常に問いかけ、見守り続けることが重要であるとのお話をいただきました。

写真:玉田氏登壇の様子

パネルディスカッション

見えてきた!「青少年ネット課題」にどう向き合う?

コーディネーター:
曽我 邦彦氏(安心ネットづくり促進協議会 副会長)

パネリスト:
玉田 和恵氏(江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 教授)
野村 哲也氏(文部科学省スポーツ・青少年局 参事官(青少年健全育成担当)付推進係)
片平 慎一氏(福岡県教育庁 教育振興部 義務教育課 主任指導主事)


まず、片平氏から、福岡県で取り組む児童生徒を対象とする啓発教育、家庭向けのチェックリストなどの取組みについて説明がありました。特にLINEは仕組みが見えないまま、みんなが使うことに危機感があるとのことでした。また、保護者のフィルタリング意識が低く「自分の子供は大丈夫」という意識を変えなければならない、と話されました。野村氏はネットを賢く使うためには、日頃からルールの設定や、子供どうしの話し合いが重要との話がありました。玉田氏は、モラルがきちんとしている子供は判断出来て問題は起こらない。皆でルールを守るのが日本人のいいところであり、日本のモラルのあり方を考えていかなければならないとの話がありました。
会場からは「販売店でフィルタリングを外すように言われた」「子供に必要な対策をとっている企業こそビジネスチャンスではないか」「ソーシャルゲームの必要性に疑問」「子供は礼儀やモラルを有しているが、ネットの世界にリアルの人がいる意識が希薄である」「教育の中でしっかりルール作りや、徳育を学ぶ必要性」等の意見が出ました。
パネリストからは、国も推奨する春の入学等のタイミングは啓発のチャンスで、集まった親に対して関係者が行動を起こす必要性や、子供の規範意識を高める活動、関係者が連携した見守りを行うこと。研究データでは子供にネットの恐怖を植え付けるよりも規範意識を教えるほうが危険の回避能力が高まる結果が出ている、との意見で締めくくられました。

写真:パネルディスカッションの様子