2014年11月22日、福岡県北九州市の黒崎ひびしんホールにて「明日の子どもを育てるフェスティバル」が開催され、安心ネットづくり促進協議会が協力しました。タレントのスマイリーキクチさんの講演に続いて、課題関係者によるパネルディスカッションが開催され、約300人の方が参加されました。

明日の子どもを育てるフェスティバル

基調講演

インターネットと人とのかかわり合い
 ~10年におよぶ、「ネットいじめ」の経験を通じて~

講師:タレント スマイリーキクチ氏

 「ネットにまったくかかわりを持っていなかった15年前に、突然、ネット上である事件の犯人として名前を取り上げられ書き込みをされた。最初に見たときには意味がわからなかった。やってもいない、言ってもいないことをネット上に次々と書かれ、CMのスポンサー等にも嫌がらせをされた。2008年に自分のブログを立ち上げて発言を出したが、ネットの集団は理解してくれなかった。」この自身の長期に及ぶ不特定多数の人からのネットいじめを受けた経験から、ネット上に書き込む場合は慎重に判断して行うことや人を傷つけるリスクがあることについてお話しいただきました。

 「止まる」に「一」を加えると「正」という字になるように、ネットの書き込みは「一度、止まって考える」習慣が大切とのお話をいただきました。

写真:スマイリーキクチ氏登壇の様子

パネルディスカッション

インターネット時代を生きぬく情報モラルの力
~ 小中学生が自らが使い方やルールを考えて、かしこく使うために ~

コーディネーター:
曽我 邦彦氏(安心ネットづくり促進協議会 副会長)

パネリスト:
スマイリーキクチ氏(タレント)
井島 信枝氏(子どもねっと会議所 代表)
髙木 雅子氏(熊本市立江南中学校 教諭)
伊藤 一義氏(北九州市青少年育成市民会議 会長)


 井島氏は、子どもたちは「ずっと友だちとつながりたい」、でも不用意な発言でトラブルも起こるし、一日を振り返ることとも出来ないくらい無料対話アプリに振り回されて、自分がどうしたいというのが無くなるくらい不安を抱えているのが現状であること。

 保護者が出来るのは「地域間での情報共有」で、努めて話題にすることで子どもの動向を知ることが出来、不安に感じているのは一人だけではないことが分かると話されました。

 熊本の髙木先生からは、自校の取組み紹介がありました。生徒が自ら考えていくために、生徒同士が話し合い、「困り感」を共有してルールに向き合う姿勢から始め、生徒自身が課題を整理して本音を語り合い、困難を克服して本当のルールに仕上げていったことを話されました。自校の「江南ルール」は『生徒』と『教師』が協同する構図に意義がありました。また、ルールづくりの過程で、生徒が様々な「本気の大人」(企業、行政関係、マスコミ等)に出会うことが彼らの成長にも大きな影響を与えたそうです。また、取組みのポイントとして、トラブル経験のある子どもをルールづくりメンバーに入れたことを挙げられました。例えばクラブに参加せずネットにはまる子どもは実は社会に関わりたいと思っているそうです。

 今後の取組みとして、保護者を活動に巻き込めていないことから、大人の心意気を取り込んで子どもと一緒の活動に進めたいとの抱負が話されました。

  スマイリー氏からは、ネット上の子どもの交流範囲は無限大になりつつあり地域で見守る必要や親子でネットの動画教材等を通じて利用意識を高める必要があること。いじめは死につながることもあるが、生きて見返す気持ちが大切であること。また、家族でのコミュニケーションをしっかりとり、挨拶を怠らないことを話されました。

 曽我氏からは、ネットは平和にかしこく有効に使うことがたくさんあるにもかかわらず、ともすればストレスのはけ口に使われる。表現の自由とは何をやってもよいということではなく、責任を伴うものであると話されました。

  主催者の伊藤氏からは、北九州市で取り組む「夜10時電源オフ運動」を推進して、早寝早起き朝ごはんのように規則正しい生活リズムで環境を整えることが大切であるとのお話をいただきました。

 最後に、北九州市の子どもたちを本気にさせる学校づくりや、子どもたちがしっかり考えるネット利用の先進地域を目指して、関係者が環境づくりを進めていきたいとの力強い言葉で締めくくられました。

写真:パネルディスカッション コーディネーターの曽我氏写真:パネリスト登壇の様子