高校生ICT Conference2017サミットを経て、サミット参加生徒から代表者3名が、文部科学省、内閣府(青少年インターネット環境の整備等に関する検討会)、総務省において、高校生ICT Conference2017で得られた成果を発表しました。
高校生ICT Conference 2017 最終報告会 開催概要
場所: | 〔文部科学省 生涯学習政策局 〕 |
テーマ: | 高校生が考える心豊かな生活~ ICT×(家族・学校・地域)~ |
報告者: | 最終報告者3名 【三重県】三重県立桑名北高等学校 2年 男子 【大阪府】関西学院千里国際高等部 3年 女子 【福岡県】福岡県立博多青松高等学校 2年 女子 |
主な参加者: | 代表生徒:3人 引率者:3人、随行者:7人(主催団体等) 【文部科学省】 生涯学習政策局 局長 大臣官房審議官(生涯学習政策局担当) 生涯学習政策局 青少年教育課 生涯学習政策局 情報教育課 生涯学習政策局 社会教育課 生涯学習政策局 男女共同参画学習課 計9名
【内閣府】 青少年インターネット環境の整備等に関する検討会委員 政府関係者 内閣官房、警察庁、総務省、法務省、文科省、経産省 内閣府 政策統括官(共生社会政策担当) 大臣官房少子化・青少年対策審議官 政策統括官(共生社会政策担当)付青少年環境整備担当参事官
【総務省】 総合通信基盤局長 同 電気通信事業部長 同 電気通信事業部 消費者行政第一課 情報通信国際戦略局 情報通信経済室 同 国際協力課 情報流通行政局 情報流通高度化推進室 関東総合通信局 電気通信事業課 生涯学習政策局 情報教育課 計8名 |
タイムテーブル:
| 10:00-11:00 文部科学省にて高校生プレゼン、意見交換 14:00-16:00 内閣府「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」にて高校生プレゼン、委員・関係省庁との意見交換会 16:30-17:30 総務省にて高校生プレゼン、意見交換、政務官との意見交換 |
最終報告の内容は主に以下の通り。
【高校生による報告】
『高校生が考える心豊かな生活 ~ ICT×(家族・学校・地域)~ 』最終報告
Ⅰ. ICT×家族「ICTと家族の上手な付き合い方について」
(三重県立桑名北高等学校 2年 男子)
1.共通の理解の確認
・私達の「心豊かな生活」とはどういうこと?
⇒人によって心豊かな生活についての認識が違う。様々な価値観がある。
2.家族間で起こるICTトラブル
(1)SNSなどを使い、言葉を送るだけでは気持ちや思いが伝わらない。
⇒お互いの意見が通じ合うということが豊かな生活に繋がる。
(2)家族間でSNSに対して求めるものが異なる。
⇒親はスマートフォンを遊び道具と見ており、子供は勉強に必要な教材だと思っている。
(3)スマートフォンは手軽な連絡方法であるため、必要のないことまで聞いたり、思い違いを生んでしまう。
3.家族同士でのICTのより良い活用
(1)家族間のコミュニケーションは面と向かって言葉や表情で伝えることが大切。
(2)スマートフォンは補助的な道具であり、道具として適切に利活用することが、心豊かな生活につながる。
Ⅱ. ICT×学校
(関西学院千里国際高等部 3年 女子)
2015年9月に国連総会で採択された、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」に謳われているように、誰もが心身共に健康である権利をもち、ICTの発達によって世界中でハイレベルな教育を受けることができるようになった。学校は、人が生きていくために必要な力を身につける場所である。生き方に様々な選択肢がある中で共通しているのは、心身ともに健康であるということ。役割の多い学校とICTをつなげることにより、心豊かな生活が実現すると考える。
1.共通理解
「心豊かな生活」⇒各自価値観が違う→豊かな生活も個々に異なる。
「学校とは?」⇒SNSの普及によってリアルコミュニケーションが少なくなっているため、家庭以外の人と現実世界で繋がれる唯一の場である。
2.生徒とICT
SNSは生徒とICTをつなぐ一番の方法である。
TwitterやInstagramは、個人の趣味や興味をアップロードし、「いいね」をもらう軽いつながりである。こうしたアプリは一方的なコミュニケーションの要素であるが、LINEなどはもう一歩深い、相互的なつながりができる。
SNSを通じていつも様々な人とつながりあうことで、人のぬくもりを感じる。他人に認められたいという欲求が生まれることで実生活がより心豊かな生活へと変わっていく。
SNSを用いてつながりを求めるのは、リアルなコミュニケーションが薄れているからである。
実際に会う以外の人とのつながりを求めるがゆえに他人に興味を持ち、自分の興味を認められたくなる。
3.リアルとICT
このようなつながりが生まれることにより、ICTをより活用して心豊かな生活が実現できる。
4.私達ができること
(1)高校生と高齢者の相互の知識の共有と交換
デジタルネイティブな若者が高齢者にICTを、高齢者が若者に日本人の経験や智恵を相互に教えあうイベントを開催する。
(2)世界どこでも部屋
学校において生徒が中心となり、(1)で学んだ日本人特有の智恵や文化に関して、ICTを使って世界へ発信する。
Ⅲ. ICT×地域「心豊かな生活とは」
(福岡県立博多青松高等学校 2年 女子)
ITよりもICTという言葉を聞くようになった。コミュニケーションの部分がより重要になり、インターネット上だけでなく、直接会うFace to face の大切さが求められているからではないか。
平成24年度総務省情報通信白書には災害時の技術面の対応・金銭面の援助等について記載されているが、スマートフォン等、情報を得るための機器を持っていない人も多い。ICTを利用している人とそうでない人がつながるため、またICTが無い状況でも助け合うため、白書にもある「きずな」が大切なのではないかと考えた。
1.災害に備えた救命訓練
公民館などで救命訓練を行う。災害対策になると共に、地域でFace to faceのつながりが生まれる。ハザードマップの確認や災害地の方のビデオ通話をつなげるなど、高校生が主体に企画し実施することで地域に関心を持つきっかけになる。つまり、地域のきずなを深める事につながっていく。
2.災害時の活動
被災者に話を聞いたとき、「災害時に一番力になるのは、顔を見て挨拶をする、話す、笑い合うことだ」と教えられた。その行動は、大人や子供より、まず高校生が実行可能なことだと思う。ICTを活用してこの考え方を広げたい。ICTの発展は『豊かな生活』につながるが、これは『心豊かな生活』とは異なる。ICTを活用し、自分たちで考え、生活を豊かにしていこうとすることが、心豊かな生活なのではないか。この認識を高校生が持ち、ICTを広めていきたい。
身近な世代が先生として授業をするもの。
ICTの発展は豊かな生活に繋がりますが、「豊かな生活」で「心豊かな生活」ではない。
「心豊かな生活」とは人それぞれ異なるため、ICTで生活を豊かにするのではなく、ICTを活用し自分たちで考えて、生活を豊かにしていこうとすることが「心豊かな生活」では無いかと考えます。
高校生ICT Conferenceを通して学んだこと
(生徒)先生に勧められ興味を持ち参加した。全く知らないことが多く、普段利用しているスマホの裏に様々な人がいるなど一気に知識を得た。また熟議においては、自分と異なる意見を聞いて新しい発見があった。サミットでは全国各地の代表者から地域の大会では出なかった考え方を聞くことができた。情報の先生に対して高校生の立場として授業をしていたり、寮にいるので携帯を一切使えない人もいるなど、同じ日本に住んでいるのにこんなに違うのかと思った。同時に、ネットの付き合い方がみなそれぞれ異なるので、様々な意見をもらって自分で考えることができ、世界が膨らんだ。参加してよかった。
(生徒)自分自身はネットトラブルの被害には遭っていないが、サミットで実際の事例を聞き、こういうことがあったら確かに困る、そんなときはこういう対処をすればよいといったことを聞くことができて良かった。一番驚いたのは意見のぶつかり合いで、全国から集まってくる人はすごいと思った。発表する場は高校生ICT Conferenceくらいしかなく、このように自由に参加できる場は楽しい。これからもこういう場があれば参加していきたい。こういう機会を与えていただき、ありがとうございました。
【文部科学省】提言・意見交換 模様
【内閣府】
「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」
提言・意見交換 模様
【総務省】提言・意見交換 模様
「開催報告書」他
「高校生ICT Conference2017_開催概要」(PDF:2.0MB)