ブログやSNSなどの多様なコミュニケーションサイトによる、青少年の日常的な情報接触機会や情報発信機会の増加がもたらしたメディア環境の変化は、青少年にとってプラス面だけでなく、「いじめ」等の社会性へのマイナス面の影響をもたらすとされています。

昨今の調査研究分野においては、国内外ともに現状の実態把握を目的としたものが多く、インターネットと青少年の社会性について実証的な調査研究を実施し、一定の定量性を持って分析を行った研究成果は非常に少ない状況です。

これらの社会性のうち、もっとも深刻な問題と考えられる①いじめ・暴力、②性意識・行動、③自殺、④依存との青少年のインターネット利用との関係性に関する2009年度から2011年度の3年間で実証的な基礎データを収集し、研究を行いました。

pdfファイル結果概要(PDF:239kB)

いじめ・暴力

調査対象:小学生・中学生・高校生、小学校・中学校・高等学校の教員
報告書:pdfファイルインターネット利用といじめ・暴力の関係性に関する研究(PDF:512kB)

インターネット利用がネットいじめおよび学校でのいじめに及ぼす影響を調査。
また、いじめの加害や被害の予防・低減に効果的であると考えられる調整要因は何か?ということについても調査し、いじめの予防・低減のために、どのような取組みを実施することが効果的であるのかを検討。

性意識・行動

調査対象:高校生
報告書:pdfファイルインターネット利用と性意識・性行動の関係性に関する研究(PDF:371kB)

インターネットなどのメディア利用量が性意識や性行動に与える影響の差異を見るとともに、調整変数による差異を調査。悪影響があるのであればその強さは、従来のメディアと比較してどの程度のインパクトであるのか、これらの悪影響は、メディアリテラシーや正確な性知識を身につけたり、フィルタリングソフトを利用したりすることにより軽減させることができるのかについて検討。

自殺

調査対象:20歳以上の青少年調査対象
報告書:pdfファイル自殺関連行動とネット上の情報との関連についての研究(PDF:385kB)

援助希求行動やストレスへの対処行動の個人的特性がインターネット上の自殺関連情報へのアクセス経験の有無や量、自殺関連行動に与えている影響などについて調査。
また、自殺関連サイト上でのコミュニケーションの実態と心理状況に与える影響について、自殺促進的/自殺予防的な可能性の双方を考慮した検討を行い、その関係性を検討。

依存

調査対象:オンラインゲームユーザー、SNS ユーザー、一般の中学生
報告書:pdfファイルインターネット利用と依存に関する研究(PDF:704kB)

ネット依存によって具体的に社会生活への悪影響と、ネット依存の要因を調査。オンラインゲームユーザー、SNSユーザー、一般中学生を対象に、具体的にどの程度インターネットに関する依存状態に陥っている人がいるか、サービスによって依存の状態が異なるかについて調査。
また、調査の結果をもとに、依存的利用の防止方策についても検討。

調査研究に関する注意事項

  • 本報告では、SMSのように厳密にはインターネットとは言えないものについても、しばしばインターネットに含めて分析されています。
  • 本事業の調査は、2009~2010年度に行われており、インターネットをめぐる状況について現在とやや異なる面があります。例えば、現在、スマートフォンやソーシャルゲームの普及が進んでいますが、今回の調査ではそのデータは少ないと考えられます。
  • 本事業で得られた結果と示唆は、これまで研究が乏しかった問題に関する実証的な知見であり、一つの資料として貴重と考えられますが、一方で絶対的でもないことに留意する必要があります。
  • 「依存」という言葉の定義は学問分野によって様々であり、必ずしも精神疾患を伴うものではないものとされています。