従来、インターネット使用の悪影響が心配されてきましたが、この因果関係の真偽や、対策の効果に関する実証研究は手薄い状況でした。そこで、実証研究が乏しかった、(1)いじめ・暴力、(2)性意識・行動、(3)自殺、(4)依存の4つの問題について扱うこととし、4班の研究者グループにそれぞれに関する研究実施を委託しました。
  研究者グループは、2009年度から3年間にわたり調査を実施し、昨年2013年1月には、2010年度までの2年分の調査データの分析結果を、中間報告として公開しています。
今回の最終報告書は、2011年度のデータを加え、3年間を通じての成果を報告するものです。

結果概要

pdfファイル研究結果概要(PDF:208kB)

いじめ・暴力

インターネットの頻繁な利用が、実際にネットいじめなどインターネットを使った仲間への攻撃行動を引き起こす強い影響要因となっているのか、また、そうした仲間からのネット攻撃を受けた被害者が精神的健康にどのような影響を受けるか等について検討。

性意識・行動

インターネット使用が高校生の性意識や性行動に与える影響等について検討するとともに、性教育やメディアリテラシー教育やフィルタリング等により低減させることができるか等について検討。

自殺

自殺関連サイトの使用が自殺念慮や精神的健康に影響を及ぼすかについて検討し、自殺関連サイト上のコミュニケーションが、自殺念慮に与える影響等について検討。

依存

ネット依存による具体的な社会生活への悪影響と、ネット依存の要因について調査を行い、具体的にどの程度インターネットに関する依存状態に陥っている人がいるか、サービスによって依存の状態に差異がみられるか等について調査。併せて、依存的利用の防止方策等についても検討。

 

調査研究に関する注意事項

  • 本報告では、SMSのように厳密にはインターネットとは言えないものについても、しばしばインターネットに含めて分析されています。
  • 本事業の調査は、2009~2010年度に行われており、インターネットをめぐる状況について現在とやや異なる面があります。例えば、現在、スマートフォンやソーシャルゲームの普及が進んでいますが、今回の調査ではそのデータは少ないと考えられます。
  • 本事業で得られた結果と示唆は、これまで研究が乏しかった問題に関する実証的な知見であり、一つの資料として貴重と考えられますが、一方で絶対的でもないことに留意する必要があります。
  • 「依存」という言葉の定義は学問分野によって様々であり、必ずしも精神疾患を伴うものではないものとされています。