ILAS検討サブワーキングでは、総務省がILAS(Internet  Literacy Assessment indicator for Students /青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標)の取り組みにより定義をした7項目のリテラシー分類をもとにして、小学生から大 人まで短時間で実施ができるテスト及び解説集を開発し、全国の保護者1,377名、高校生416名、中学生674名、小学生599名、合計3,066名を対象としたインターネット・リテラシー実態調査を実施し、調査結果を最終報告書として公開しました。

2016年度 青少年と保護者におけるインターネット・リテラシー調査 安心協ILAS 最終報告書

pdfファイル2016年度安心協ILAS調査(PDF:786kB)

安心協ILASの活動総括

本年度は安心ネットづくり促進協議会関係者の「青少年インターネット健全利用」への啓発意欲とPTA(日本PTA全国協議会・全国高等学校PTA連合会)等の多大な協力によって、昨年度に引き続き約3千人規模(全体の協力者数3,066名:保護者1,377名、高校生416名、中学生674名、小学生599名)のテスト実施から分析までのとりまとめにつなげることが出来た。

 2015年度、2016年度にテスト問題と解説を公開したことにより学校授業やPTA等の研修会にてネット利用理解度の確認やおさらいの為に「安心協ILAS」を実施する事例も出てきており、安心協ILASの普及啓発のためのツールとしての有効性が高まってきている。

啓発活動との連携について

本報告書「2.調査結果総論」からの考察、啓発活動への提言は以下の通り。

【保護者に向けて】

・ 「安心協ILAS」が定めたリテラシー基準において、保護者のリテラシーは、青少年よりも高かった。この傾向は、経年調査開始した2015年から同様の傾向を示している。このことから、保護者のインターネット・リテラシーが低いとは言えない。

・ 保護者の子どもに対する指導に十分に自信を持っていないことも指摘されている。その様な問題の要因として以下のことが挙げられる。

ü  親の目の届かないところでの利用に対する適切な指導方法

ü  利用の自由と保護のための制限の適切なバランス

ü  子どもたちが利用している最新機器、最新アプリおよびそこで起きている問題への対処方法

・ 以上のことから、保護者に対する啓発教育は、知識習得型の教育よりも、最新機器・アプリを介して起きている問題関する事例を伝えること、その対処を伝える解決方伝授型教育やベストプラクティスの紹介が有効になると考えられる。

 【青少年に向けて】

・小学生のテスト問題中の「言葉や内容の意味が分からない」との選択率は、他の年代よりも高い傾向にあった。この結果から、小学生はネットに関連する用語についてはよく分かっていない状況の下で、感覚的にネットを利用していることが考えられる。

・このことから、特に小学生年代においては、デフォルトでセーフティゾーンが確保されているネット利用環境が必要と考えられる。今一度、青少年保護バイ・デザインを考えるべきである。

・年代別の利用サービスをみてみると、高校生においてはSNSやコミュニケーションアプリの利用率が高く、小学生ではゲームや動画が高く、年代により利用サービスが異なる結果となった。このことから、各年代に応じた啓発教育内容、指導対策を講じていく必要があると言える。

・啓発経験がないと回答した中学生で13%、小学生で19%という結果となった。

・啓発教育経験のない被験者は、受けた経験のある被験者よりもリテラシーが低いと言う結果となった。

・このことから小中学生を中心に、啓発活動を拡充する方策、各地域で啓発活動を実践できる体制の構築、支援が重要になるであろう。

・リスクカテゴリにおいて正答率が低かった項目としては、各年代において「1a 違法情報への対応」の正答率が低い傾向がみられた。特に、小学生においては「3a 適切なプライバシーの保護」「3b 適切なセキュリティの保護」についても低かった。これらのリスクカテゴリにおけるリテラシーの向上の為にも、この結果を啓発教育の改善に活かす必要があると考えられる。

【長時間使用といわゆるネット依存について】

・モバイル機器の使用時間は、高校生が最も長時間傾向にあり、続いて中学生、保護者の順となった。

・パソコンの使用時間では、保護者の使用時間は青少年の各年代よりも長い傾向を示していた。

・ネット依存の自覚では、高校生の自覚傾向が最も高く、続いて保護者、中学生と続いていた。

・ネット依存の自覚とネット使用時間のクロス分析では、高校生の平均時間は3.3時間であり、中学生は2.6時間、保護者に至っては1.6時間と、彼らの自覚と使用時間との認識が大きくずれていることが分かった。

・以上のことから、青少年における主要なネットへのアクセス機器はモバイルであると言える。しかし、モバイル機器は、保護者の目の届かないところでの使用がたやすくできることから、利用ルールの設定や、必要に応じて使用時間設定機能などの利用も有効な手立ての一つとなり得るであろう。また、リビングルームでの利用をルール化するなど、保護者が関与できる環境を作っていくことが必要であると考えられる

「安心協ILAS」テスト及び解説集

pdfファイル【2016】安心協ILASテスト-小学生(PDF:430kB)

pdfファイル【2016】安心協ILAS解説集-小学生(PDF:324kB)

pdfファイル【2016】安心協ILASテスト-中高生(PDF:293kB)

pdfファイル【2016】安心協ILAS解説集-中高生(PDF:322kB)

pdfファイル【2016】安心協ILASテスト-保護者(PDF:295kB)

pdfファイル【2016】安心協ILAS解説集-保護者(PDF:322kB)